青山学院大学 理工学部

DEPARTMENT関真一朗 助教

関真一朗 助教

教員 関真一朗 助教
テーマ 素数、多重ゼータ値、数論的ラムゼー型問題

研究内容

「数」の数学的性質に興味があります。これまでのところ「整数」と「コンセビッチ・ザギエの周期」と呼ばれる種類の数達について研究してきました。特に、前者については「素数」、後者については「多重ゼータ値」について重点的に研究しています。

素数は2以上の整数のうち、1とその数自身の2つしか正の約数を持たないものとして定義されます。「算術の基本定理 = 素因数分解の存在と一意性」などの観点から素数は整数の中でも特に大切な対象です。そのように基本的で大切な概念でありながら、素数が整数の集合の中でどのように分布しているかについては未だに分かっていないことがたくさんあります。

双子素数予想やリーマン予想などは特に有名な未解決問題ですが、他にも様々な問題が日々生まれ研究されています。素数に関する大成果「グリーン・タオの定理」と関連する定理を共同研究で証明しましたが、今後は「ある特殊な形をした素数の無限性」というタイプの未解決問題に取り組みたいと思っています。これはアックス、コンセビッチや金子・ザギエが研究した「無限大素数を法とする整数環」における数論と深い関係性があります。

コンセビッチ・ザギエの周期は代数的数を一般化した概念で、ある特定の形の積分表示を持つような複素数のことを言います。代数的整数論はこれまでにたくさん研究されてきていますが、周期についてはまだまだ基本的な問題が残っています。周期の中でも素朴な多重級数表示を持つ「多重ゼータ値」が近年活発に研究されています。これはリーマンゼータ関数に正の整数を代入した値のある種の一般化ですが、様々な特徴的な関係式を満たすことが発見されており、その代数構造は非常に魅惑的であります。

私は特に「双対関係式」と呼ばれる関係式を軸に研究を進めており、多重ゼータ値の仲間である「有限多重ゼータ値」の研究にも取り組んできました。今後はこれらの周期の無理性・超越性・独立性に何とか踏み込んでいけないものかと思っています。

多重ゼータ値とコネクター

多重ゼータ値の双対関係式は反復積分表示を用いて変数変換するのが最も素朴な証明でしたが、山本修司氏と共同で級数変形に基づく新しい証明を与えました。これは我々が「コネクター」と呼ぶ特徴的な部分を持つ「連結和」を導入してインデックスを1つずつ輸送していくという証明手法で、この新しいアイデアによって幾つかの関連する論文を書きました。今後の多重ゼータ値や周期の研究の進展に資することを大いに期待しています。

数体の素元星座定理

素数だけで構成される任意の長さの等差数列が存在する。これがグリーン・タオの定理です。例えば7,37,67,97,127, 157は長さ6の素数からなる等差数列ですが、もっともっと長さが長いものも存在することが証明されているのです。

整数の集合がどのような条件を満たすときに等差数列という構造を持つかという問題は「数論的ラムゼー型問題」の1つです。1975年にセメレディが大きな成果をあげましたが、グリーン・タオの定理はその先をいく成果でした(2008年に出版)。セメレディの定理には多次元版があり、フルシュテンベルグ・カッツネルソンが1978年にそれを証明していましたが、グリーン・タオの定理の多次元版も興味ある問題であり、2次元版である「ガウス素数星座定理」がタオによって証明されました(2006年に出版)。ここでいう「星座」は等差数列を多次元化した数学的概念の名称を指します。

整数や有理数の世界を多次元化した世界に「数体」と呼ばれるものがありますが、数体がガウス数体と呼ばれる特殊な場合にグリーン・タオの定理の対応物を証明したのがタオの定理です。素数の対応物がガウス素数と呼ばれるものです。更に一般の数体の場合にグリーン・タオの定理を拡張するという問題はしばらく残っていましたが(素数は「素元」に拡張されます)、最近、甲斐亘、見村万佐人、宗政昭弘、吉野聖人の各氏と共同でこれを証明することに成功しました。応用として、「2元2次形式の素数表現に関する星座定理」という通常の素数に関する新結果を得ることもできました。今後はエルデシュ・トゥラン予想を始めとした未解決の数論的ラムゼー型問題に取り組んでいこうと思っています。

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研究者情報

助教:関真一朗
学位 博士(理学)
所属学会
研究分野 整数論
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