青山学院大学 理工学部

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2022/11/02

島浦陸さん(理工学研究科)が13th ATPC国際会議でStudent Poster Awardを受賞

島浦陸さん(理工学研究科理工学専攻機能物質創成コース博士前期課程2年・重里有三教授研究室) が、2022年9月26日(月)~30日(金)に開催されたThe 13th Asian Thermophysical Properties Conference (ATPC2022)国際会議 にて英語でのポスター発表を行い、Student Poster Awardを受賞しました。この賞は、基礎から応用にわたる熱物性分野の発展に貢献しうる優秀なポスター講演を行った学生に対して贈られるものです。受賞した講演の題目は以下の通りです。

2P1001-29-19 “Heat transport properties for amorphous and polycrystalline WO3 films ”
「アモルファス並びに多結晶WO3薄膜の熱伝導機構に関する研究」

近年、様々な結晶における熱物性の研究は第一原理(量子論)に基づく理論的な研究が飛躍的に進歩し、様々な結晶性物質におけるフォノン(格子振動を量子化したもの)のふるまいに関する基礎から応用に関する研究が活発に行われています。これらの研究成果は様々なデバイスにおいてエネルギーの高効率化に大きく貢献しています。しかし、結晶のような原子配列の秩序性を持たない、非晶質(アモルファス)物質に関しては、構成原子の振動が非常に複雑であり、基礎的な解明はほとんどされていません。重里研究室ではIGZO等の様々な機能を持つアモルファス酸化物半導体(AOS)薄膜の合成や構造解析に関する研究を行ってきました。島浦さんはこれらの成果をふまえ、マグネトロンスパッタリングという方法で原子配列が様々な秩序性(或いは無秩序性)を有するアモルファス並びに多結晶WO3薄膜を合成し、構造解析を行いました。アモルファスWO3薄膜はアモルファス構造をとることで電子が局在化し、電子―格子相互作用が強くなることによるスモールポーラロン吸収という興味深い特性を示します。この特性により様々な応用が期待されています。これらの薄膜物質に関してピコ秒~ナノ秒サーモリフレクタンス法と3ω法という2種類の方法で高精度な熱伝導の定量的解析をおこなうことに成功し、アモルファス物質における構造と熱物性の相関に関する議論を展開しました。これらの薄膜熱物性に関する研究は、様々なデバイスや構造材料におけるエネルギーを高効率化する技術に貢献すると期待されています。

研究発表は、研究内容の独創性、学術的な意味、実用化に向けた有用性、論理構成の妥当性、アモルファス物質の高度な構造・組成制御と構造解析結果等のデータの豊富さ、英語でのプレゼンテーションのわかりやすさ等について専門分野の審査員から高い評価を受け、同賞に値すると認められました。
本研究は、本学と産業技術研究所(産総研)との連携大学院における研究・教育の一環として行われたもので、産総研の客員教授・准教授の方々にも手厚く御指導をいただきました。

・The 13th Asian Thermophysical Properties Conference(ATPC2022)
・Awardees of Student Poster Award at ATPC2022
・重里有三教授 研究者情報
・理工学部 化学・生命科学科