青山学院大学 理工学部

DEPARTMENT研究室紹介

伊藤要平 助教

教員 伊藤要平 助教
テーマ D加群、不確定特異点型Riemann-Hilbert対応、ind-sheaf、subanalytic sheaf

研究内容

私の専門分野は代数解析学(algebraic analysis)であり、特にD加群(D-module)に興味があります。
また、最近の研究テーマは「不確定特異点型Riemann-Hilbert対応(irregular Riemann-Hilbert correspondence)とその応用」です。

代数解析学とは

代数解析学と聞いて「それは代数学の分野なのか、解析学の分野なのか」と疑問を持つ方もおられるかと思います。代数解析学の定義は研究者によって異なると思いますが、私は「ホモロジー代数などの代数的手法を用いて解析学の研究を行う分野」という認識です。この分野は日本発祥であり、その創始者は京都大学数理解析研究所名誉教授の佐藤幹夫先生です。

D加群

代数解析学の中でも、特にD加群に興味があります。D加群は線型偏微分方程式系を層(sheaf)の言葉を用いて代数的に定式化し直した概念であり、1960年頃に佐藤幹夫先生により導入されました。そして1970年代初期より柏原正樹先生、河合隆裕先生、Joseph Bernstein先生らが中心となって本格的に理論を進展させました。

最近の研究テーマについて

元来のRiemann-Hilbert問題(Hilbert問題の21番目)は、曲線上に与えられたモノドロミーをもつ確定特異点型線型常微分方程式(Fuchs型ともいう)が存在するかという問題でした。柏原先生はこの問題を「複素多様体X上の確定特異点型ホロノミーD加群(regular holonomic D-module)の三角圏とX上の複素構成可能層(C-constructible sheaf)の三角圏の間の圏同値」として定式化しました。現在、この圏同値は確定特異点型Riemann-Hilbert対応と呼ばれています。私は「この圏同値を確定特異点型とは限らない一般のホロノミーD加群の場合に拡張するという問題」に取り組みいくつかの結果を得ました。しかしながら、この問題は完全に解決されたわけではないので引き続き研究しています。私自身、基本的なこともまだまだ理解出来ていないことが多いですが研究しながら理解を深めていければと思っています。

研究者情報

助教:伊藤要平
学位 博士(数理科学)
所属学会
研究分野 代数解析学(特にD加群)
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