青山学院大学 理工学部 研究者情報

青山学院大学 理工学部 教授 / 理学博士
宇宙物理学(実験)・高エネルギー天体物理学
吉田 篤正
Atsumasa Yoshida

私が子供の頃は渋谷にもプラネタリウムがあった。東急文化会館にあった五島プラネタリウムである。小学生の私は気持ちの良い椅子に座ってドームに映し出される真昼の星像を眺めるのが好きであった。五島プラネタリウムは2001年3月に惜しまれながら閉館したが、この場所に通った子供たちが、のちに天文学・天体物理学の研究者になった例が多いということを聞いている。

私はといえば、子供時代こそ小さな天体望遠鏡をのぞいたりしていたが、その後は天文学より映画の方が好きになり、プラネタリウムよりは映画館通いに精を出した。ルドルフ・マテ、グレッグ・トーランド、宮川一夫たちの撮った映像に感銘をうけ、映画の撮影監督になりたかった。同時に物理学に非常に惹かれるようになった。天文学よりは基礎的な物理現象を研究したいと思っていた。転機は大学4年の時に聞いた小田稔先生の講義であった。中性子星やブラックホールの近傍では、地球上では想像できないような物理現象が起こっていることを知った。そこでは電子や陽子のような荷電粒子が高いエネルギーまで加速され、γ 線やX線が生成されているという。しかも、基礎物理学的な素過程と天体現象が直接関連しているらしい…。プラネタリウムで聞いた銀河や恒星とは大きく異なったイメージを与えられた。

結局、私は高エネルギー天体物理学を研究することになった。現在もっとも力を注いでいる研究は、突発天体現象の理解である。とくに数十~100億光年遠方の宇宙で発生する大爆発---ガンマ線バーストとよばれる現象を観測的に研究している。これは幼年期の宇宙において、ブラックホールが誕生するときに発生する現象であることが、やっとわかってきたところである。

高校生の頃、暗記に頼らなくても良い物理が大好きだった。現在、一年生に物理学を教える立場になって、多くの学生が物理を「暗記物」ととらえていることを知るにつけ、悲しい気持ちにおそわれる。物理学のほんとうの楽しみは、誰にも分からない現象・事象を見つけ、徹底的に考えることであることを発見してほしい。答えの知られていない、先の見えないもの こそ面白いのである。

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