青山学院大学 理工学部

DEPARTMENT研究室紹介

西山研究室

指導教員 西山 享 教授
テーマ リー群の表現論の研究
1.ゼータ積分のフーリエ変換と解析接続
2.退化主系列表現の間のintertwining作用素の構成と解析接続
3.多重旗多様体上の軌道と幾何、組合せ論

研究内容

自然界や物理法則、芸術などに現れる対称性を数学的に探究することが研究のテーマです。

古来、ギリシャ時代の数学においても、正多面体が5種類しかないことがよく知られていました。これは幾何学の問題と考えられますが、代数的に言うと「空間の等長変換群における有限部分群の分類問題」と考えることもできます。ちょっと難しいですね。しかし、このように考えると、空間内の結晶の分類を代数的に表すこともできます。もっとも正多面体と違って、空間の結晶群は216種類もあることがわかっています。

ここに出てきた等長変換群(平行移動と回転のなす群、あるいはユークリッドの運動群)はリー群の一例で、このような連続的変換群の構造を深く研究すること、そしてリー群にかかわる対称性を「群の表現」を用いて理解すること、そのような数学の分野を「表現論」と呼んでいます。対称性には図形の持つ対称性のほか、

(I) 空間自体の持つ対称性:(例えば我々の棲む3次元空間は等方的、つまり対称性がとても高いですね。他にも球面、双曲面など等質空間と呼ばれる空間があり、アインシュタインの相対性理論はミンコフスキー空間と呼ばれる空間の対称性を突き詰めることによって生まれました。)

(II) 数式の持つ対称性:(方程式の対称性はガロア理論と呼ばれる一大分野を形成しています。また、対称式とか交代式、行列式などが持つ対称性の研究は不変式論と呼ばれ、幾何学と結びついて数学の深い理論を形成しています。)

(III) 微分方程式の対称性:(フーリエ変換や調和解析は、ラプラス作用素やオイラー作用素を用いた偏微分方程式、とくに量子力学における波動方程式の解を理解するために発展してきました。)

などさまざまなものがあり、これらすべてになんらかの意味で表現論や不変式論が関係しています。この世界は対称性で溢れてるんですね!

左:正20面体中の15枚の長方形、右:ガウスの奇跡の五芒星

すこし専門的になりますが、最近の研究について以下紹介します。

ゼータ積分のフーリエ変換と解析接続

佐藤幹夫・新谷卓郎によって提唱された超関数としてのゼータ積分は、概均質ベクトル空間の相対不変式を用いて定義されます。このゼータ積分は、フーリエ変換による関数等式を満たし、複素パラメータに関する解析接続により有理型関数として拡張できます。Bent Ørsted 教授(オーフス大学・デンマーク)や和地輝仁教授(北海道教育大学)とともに基本相対不変式が複数ある場合に、多変数のゼータ積分のフーリエ変換や解析接続を研究し、その具体形を決定しました。

退化主系列表現の間のintertwining作用素の構成と解析接続

ゼータ積分は数論でも有用ですが、対称対に付隨するリー群の退化主系列表現の間の intertwining 作用素を定めます。この積分作用素の収束や解析接続、留数などを Bent Ørsted 教授と研究しています。

多重旗多様体上の軌道と幾何、組合せ論

Springer、 Steinberg、 Lusztig 等、多数の研究者たちの独創的な研究によって、旗多様体の幾何学と冪零軌道、ルート系の Weyl 群が緊密に関係していることが明らかになりました。とくに、Springer 対応や Steinberg 多様体、Kazhdan-Lusztig の理論は組合せ論と深く結びつき、Robinson-Schensted 対応やKGB理論などさまざまな研究の礎となりました。Lucas Fresse 准教授(ロレーヌ大学・カルタン研究所・フランス)との共同研究で、このような幾何学、群論、組合せ論が交錯する理論の多重旗多様体への一般化を研究し、軌道の分類や部分置換半群に対する一般化された RS 対応など多くの結果を得ました。この研究では落合啓之教授(九州大学)、大島芳樹准教授(大阪大学)、Xuhua He 教授(香港中文大学)との共同研究で得られた結果も重要な役割を果たしています。

参考文献

研究室オリジナルサイト

研究者情報

教授:西山 享
学位 博士(理学)
所属学会 日本数学会、アメリカ数学会
研究分野 表現論、リー群・リー環論、調和解析・フーリエ解析、多様体への群作用
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