教員リレーコラム~知の並木道~

リレーコラム第25回(2013年8月12日)
見えない光でモノを観る

文:理工学部 電気電子工学科 准教授 渕 真悟

渕 真悟 准教授
 渕 真悟 准教授

みなさんは、虹を目にしたことがあると思います。虹は、太陽光が空気中の水滴によって七色(紫・藍・青・緑・黄・橙・赤)に分解されたものです。言い換えれば、太陽光はこれら七色の光を含んでいます。それでは、太陽光は七色の光だけを含んでいるのでしょうか?答えは「いいえ」です。七色以外にも、お肌の大敵(?)の紫外線や、赤外線という目に見えない光が含まれています。

光は電磁波という波の一種で、波長(波の山と山の距離)によって呼び名が変わります。人間の目は、波長380~750nm程度の電磁波を感知することができるため、この波長の電磁波は「可視光」と呼ばれます。可視光の中でも、例えば、380~450nm程度は紫色、波長495~570nm程度は緑色、620~750nm程度は赤色として認識されます。紫外線は、その名前のとおり「紫の外」ですから、波長380nm程度未満の電磁波です。また、赤外線は「赤の外」ですから、波長750nm程度以上の電磁波です。さらに、X線も電磁波の一種(つまり、広い意味の光)で、その波長は1pm~10nm程度です(pmはピコメートル。紫よりも遙かに波長が短いのです)。このように、私たちの目は、極々一部分の波長の電磁波を色として認識しているに過ぎません。

それでは、目に見えない光でモノを観ると、どうなるのでしょうか?
例えば、X線を体に照射して、体を透過したX線の強度をカメラ(又はフィルム)で記録します。骨はX線が透過しにくく、皮膚や内臓組織はX線が透過しやすいため、骨のコントラストが得られます。いわゆるレントゲン写真ですね。もし、太陽光にX線が含まれていて、目がX線を感知できれば、街を歩く人はホネという世界が広がります。一方、波長を長くして赤外線、特に赤に近い「近赤外線」を用いるとどうなるでしょうか?

図図は、近赤外線を私の手の人差し指に照射し、指を透過した近赤外線をカメラで記録したものです。線状のコントラストが観察されますが、これは、皮膚下の血管です。近赤外線は、皮膚組織等は比較的透過しやすく、血管は透過しにくいという特性を持っているため、このように観察されるのです。太陽光には近赤外線が多く含まれていますので、もし、近赤外線を高感度で感知できる目を持っている人がいれば、街ゆく人の血管が浮き上っている世界に住んでいるのでしょう。このように、目に見えない光でモノを観ると、可視光とは別の世界が広がっているのですね。

最後に、近赤外線を用いた実応用例を紹介します。最近、スーパーマーケット等の果物売り場で、「光センサーで甘さ測定」というような宣伝を目にしませんか?これは、果物に近赤外線を照射し、透過した光(又は内部に侵入した後、反射した光)を解析し、糖分がどのくらい含まれているのか分析する手法を利用しています。

次回のコラムは、理工学部 英語科目 森 幸穂准教授が「どうやって英語を勉強したらより効果的でしょうか?」についてのお話しをリレーしてくださいます。ご期待ください。

電気電子工学科
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青山学院大学 理工学部 電気電子工学科 准教授
渕 真悟
Shingo Fuchi
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