教員リレーコラム~知の並木道~

リレーコラム第2回 (2010年5月24日)
日焼けがDNAをまもる

文:理工学部 化学・生命科学科 准教授 長谷川美貴


長谷川 准教授

DNAは「デオキシリボ核酸」の略で、私たちの遺伝子の情報を分子でつづった鎖状の伝達物質です。私たち人間の遺伝子は、2本の鎖がらせん階段のように組み合わさっていて、それらは、お父さんとお母さんの遺伝子を半分ずつ組み合わせたものが出発となっています。よくできた仕組みですね。しかし、DNAは紫外線に弱いのです。

DNAは私たちの体のすべての細胞の「核」という部分に組み込まれています。ですから、当然皮ふの細胞にもDNAが存在します。
ヒトの皮ふは、空気に触れる表皮部分とその下に真皮があります。表皮はつぎつぎに真皮からつくられ、約14日間で垢となってはがれおちます。実は、この表皮と真皮の間には特殊な機能を持つ銅イオンを含む分子があることが分かっています。
この銅イオンを含む分子は光、特に紫外線をとらえると電気的な信号をチロシンという物質に流します。このチロシンは、光⇒電気⇒化学反応を連鎖的に起こして、メラニン色素に変化します。いわゆる、シミ、ソバカスになるのです。

美容ではシミやソバカスはお肌の大敵!ですけれども、DNAにとっては大切なベールの役目をします。
過剰な紫外線が真皮と表皮の間まで到達すると、新しい表皮をつくるときに銅イオンを含む細胞のなかで核を紫外線から守るために、メラニン色素がつくられ核の周りを覆うのです。

夏に向けて日焼け止めが手放せない人、そして日焼けを楽しむ人が多くなりますね。
肌に塗る日焼け止めの材料設計には、いくつかのポイントがあります:紫外線を反射して真皮までとどかせないようにする材料、先ほどの銅イオンを含んだ分子と作用して光応答性を弱めるもの、そしてメラニンをつくる細胞の機能を低下させるもの、などです。過度の日焼けはやけど等の皮ふの疾患も誘発しますが、少々のシミ、ソバカスは細胞自身が自分の遺伝子を守ってくれていると思うと、生命のはたらきにはどんなことにも意味があるのだなあと感心しますね。

次回のコラムは、経営システム工学科日吉久礎准教授が「お店の「なわばり」を考える」についてのお話しをリレーしてくださいます。
ご期待ください。

長谷川研究室では、金属と有機物から成る色素の一種である錯体化学の研究をしています。
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長谷川美貴研究室のホームページ
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青山学院大学 理工学部 化学・生命科学科准教授/博士(理学)
長谷川 美貴
Miki Hasegawa
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担当科目
化学2 / 無機化学A / 無機化学C / 錯塩化学 / 化学輪講 / 無機化学実験
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