教員リレーコラム~知の並木道~

リレーコラム第15回(2012年7月17日)
感性とコミュニケーション

文:理工学部 電気電子工学科 准教授 野澤昭雄

野澤 昭雄 准教授
野澤 昭雄 准教授
 いわゆる“携帯メール”やインターネット上のチャットなど、文面だけのコミュニケーションで話がこじれた経験はありませんか?後日、面と向かって話してみれば実はこじれるような話ではなかった…という話をよく耳にします。これにはちゃんと理由があります。ヒントは人間の「感性」にあります。

 感性とは、物事に対する感受性、さらには、それによって生じる感情や考え方も含む概念です。何かを見て、聞いて、感じ取った結果、それを好きだとか嫌いだとか判断する、あるいは、“わくわく”したり怖がったりするまでの道筋全てが感性なのです。ただし、同じ物事に対しても感じ方や考え方が人それぞれ違うのは当然です。つまり、感性とは一人一人の人間に固有の“感じ方・考え方・感情表現の特性”を意味していることになります。こうなると“感性は個人そのものである”と言ってもよく、“感性を知る”ことは個人を知ることにもなるわけです。

 では、他人の感性を知るにはどうすればいいのでしょう?感性の定義に従えば、相手に何かを伝えてその反応を見れば良さそうですね。伝える内容のバリエーションを増やせばそれに応じて様々な反応を見る事ができ、より詳しく感性を理解できるでしょう。“色々な事を伝えてその反応を受け取る”、これは即ちコミュニケーションです。つまり、感性を伝え感性を知ることがコミュニケーションの本質なのです。



 日本語には「空気を読む」「察しが良い」など、相手の感情や意図を酌むことを意味する言葉があります。これらが肯定的な意味合いを持つのは、正しく感性を伝達し解釈することが円滑なコミュニケーションの要因となっていることの証です。ただし、人間同士のコミュニケーションは、会話や文字などの言葉だけで行われているわけではありません。もちろん、話題自体は言葉によって伝達されていますが、それと同時に、表情、視線、身振り手振り、抑揚など言葉以外の手段によって、感情、意図、嗜好、動機など、感性を知る手がかりが伝えられています。つまり、怒っているのか、喜んでいるのか、話を理解しているのか等、互いの感性を感じとって初めて、人間同士はストレスなく円滑にコミュニケーションできるのです。メールで話がこじれたのは、言葉以外の情報が無く、お互いの感性が伝わらなかった事が原因だったのですね。

 最後にちょっと宣伝を。人間同士のコミュニケーションと同様に、人間と機械の間で相互に「感性」を伝達・解釈すれば、「気の利いた」「察しのいい」コンピュータやロボットが実現できるかもしれません。私の研究室ではこのような目標に向かって人間の感性を測る技術の研究を行っています。この技術は情報通信機器、介護福祉機器、教育現場、自動車、ロボットなど多方面への応用が期待されています。

次回のコラムは、情報テクノロジー学科 戸辺義人教授 が「携帯電話を使って、広範囲に渡る実世界の状態を知ろう」についてのお話しをリレーしてくださいます。ご期待ください。

野澤昭雄研究室のホームページ
http://biel.ee.aoyama.ac.jp

電気電子工学科のホームページ
http://www.agnes.aoyama.ac.jp/eee/index.html


青山学院大学 理工学部 電気電子工学科 准教授
野澤 昭雄
Akio Nozawa
研究室ホームページ
▲TOPへ戻る▲

copyright(c)2003-2014 Aoyama Gakuin University College of Science and Engineering All Rights Reserved.