青山学院大学 理工学部

DEPARTMENT研究室紹介

構造生物学研究室

指導教員 宮野雅司 教授
テーマ 1.脂質代謝の基本酵素脂肪酸アシルCoA合成酵素の発現・精製と機能解析
2.多剤耐性に関わるβ-ラクタマーゼの反応機構の解明
3.抗慢性炎症をめざした脂質特異認識抗体のタンパク質工学の立体構造と機能

研究内容

構造生物学は生物を支えている巨大分子タンパク質などのはたらきを、その分子の形を原子レベルで明らかにして、分子の働きとして研究します。生きているタンパク質の化学構造を原子・分子の立体構造を決定して、そこで起こる化学反応を分子レベルで解明します。原子レベルの立体構造理解は科学の必須かつ基本となる研究法です。構造生物学は、タンパク質の立体構造を基に、その物理化学的酵素学的な分子機能を理解し、多様な生命のはたらきとその調節の分子基盤を明らかにします。有用タンパク質の高機能化は食品科学やグリーンケミストリーの一助となり、病気の原因となるタンパク質分子の原子構造は薬創りを助け、関連産業展開のための基盤となります。タンパク質X線結晶構造解析は、安定で高度に精製されたタンパク質を大腸菌や酵母で大量に造ることからはじまります。造ったタンパク質の機能を確認し、結晶を成長させてX線回折で立体構造を決めます。その分子機能解析は、タンパク質立体構造の理解から始まります。

脂質代謝の基本酵素脂肪酸アシルCoA合成酵素の発現・精製と機能解析

脂肪酸アシルCoA合成酵素(FACS)は、ほとんどの生物にとって最も基本的な脂肪酸代謝酵素であり、β酸化、脂肪酸生合成、脂肪酸輸送、脂肪酸による修飾、リボソームによらないペプチド合成、そして真核生物では長鎖脂肪酸CoA自体が細胞の調整制御に働いています。その構造生物モデルとして高度好熱菌由来長鎖脂肪酸FACS (ttLC-FACS) の反応中間体複合体を含めた複数の反応状態複合体から、ttLC-FACS は3つの基質である脂肪酸、ATP、CoAを、順番に取り込みながら二段階の反応機構 (ordered Bi-Uni-Uni-Bi reaction)で触媒します。この酵素反応が脂肪酸の種類、基質濃度や温度など様々な要因と関係して立体的にアロステリック制御されるしくみを研究して、酵素活性の改変や脂肪酸の基質選択性の解析をすすめています。

多剤耐性に関わるβ-ラクタマーゼの反応機構の解明

抗菌薬に対する耐性を獲得した薬剤耐性菌の出現によって、将来、有効な抗菌薬がなくなるのではないかと危惧されています。多剤耐性アシネトバクター (Acinetobacter baumannii) は、これまで「多剤耐性菌にも有効で最も強い抗菌活性を持つ」とされてきたカルバペネム系抗菌薬にも耐性を獲得した。院内感染の発生も多く最も警戒される多剤耐性菌の一つです。共同研究先の東邦大学で多剤耐性アシネトバクターからクローニングされたカルバペネムを加水分解するクラスD β- ラクタマーゼ OXA-58 の結晶構造解析をすすめ、抗菌薬の分解の仕組みを研究しています。そして、より強い抗菌薬の創薬研究に役立つ情報提供します。

抗慢性炎症をめざした脂質特異認識抗体のタンパク質工学の立体構造と機能

抗体は、現在、バイオ医薬品の中心です。岡山県立大学と共同で、抗原認識部位だけの小さな部分抗体(単鎖抗体)を、遺伝子組み換えタンパク質として酵母で生産し、抗原認識機能を解析しています。慢性炎症性疾患の喘息などを引き起こす脂質メディエーターであるシステイニルロイコトリエンと結合して中和・不活性化する抗体を作成し、結晶解析による立体構造を使ってデザインした、抗原認識部位のアミノ酸残基を変えた単鎖抗体の抗原特異性を変化させる研究を行っています。

研究者情報

教授:宮野雅司
学位 理学博士
所属学会 日本生化学会、日本結晶学会、日本生物物理学会、米国生化学分子生物学会
研究分野 脂質メディエーター関連の構造生物学、膜タンパク質結晶学、酵素生化学
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